京都刑務所訪問記【矯正展】
京都市は山科東野にある京都刑務所を訪問。矯正展ということで、作業品の購入もしたりしてました。ブルースティック結構ガッツリ売ってましたね。


全体的にお祭りっぽくなっているところはスルーして、所内見学へ。酒気帯び不可、録画録音不可、大声不可、スマホを取り出すな、というあたりの注意事項が書かれた同意書に一筆サインする。
そして塀の中への二重の門(資材門らしい)の真ん中で待機させられる。大きい通用門のそばに空いた小さい扉から待機所に入ると、刑務官は6,7人ほど控えていて、そのうち3人で案内してくださるという感じである。1回の見学で20人ほどをまとめて見学に供するようである。さらに見学前に改めて録画録音不可と言われ、更に「もし受刑者を見ても話しかけないでください」と言われた。
そういう注意事項を受けて中に入ると、看守に付き添われた1人の受刑者を遠目で確認することができた。そもそも声掛けできるような距離ではなかった。ほかのグループも案内されていたが、受刑者との距離・間隔を確保する形で案内しているようである(これは推測)。
炊事工場・14工場(木工)・15工場(LCPC)を順に案内される。炊事工場は900人分の食事を12人で作っているとのこと。14工場は木工の工場で、本棚などを作っているという説明をしている間に回りを見渡すと、倉庫と書かれた扉に「許可を得てから入ること」と書いてあったり、おそらくここに並んで点呼なりを受けるのであろうというマスが床にペイントされていたり、作業金額の(工場単位での?)達成率などの表が掲示されていた。15工場はLCPCなる作業となっているが、社会復帰支援に力を置いているような感じである。一応刑務官は「作業」と仰っていたが、簡単な袋詰めに近しい感じの印象を受けた。一応「刑法改正の影響があるか」と訊いてみると「確かに制約は取れた」とのことであった。なお、工場は隣接して食堂・便所(ガラス張り)があり、工場入口のところに、食事のランクと人数(A食〇人)などと書かれており、14工場・15工場はそれぞれ20人ほどの工場であった。
さて、ここから浴場に移動するとなったときに、後ろの大人の集団が刑務官に「じゃあ今〇〇工場って残ってるんですかね」と声と掛けていた。「どうなんでしょうね」と応じていたが、全くはぐらかせていない様子であった。その道の方々でお世話になったこともあるのであろう。シャワーも30秒以内とかいろいろ懐かしんでおられた様子であった。浴場は、サイズにしては人数をかなり詰め込んで入るような感じである。週3日・15分という決まりだそうである。
ここで、少し質問する時間があったので、そこでのやり取りをまとめると
・平均4,5回の入所回数である。
・覚醒剤・窃盗・詐欺が多い
・非常ベルは1日1回、多いときには4-5回鳴る。全員で応対するわけではないが、いざ行かなければならないときは案内している刑務官(幹部だそうだ)でも向かうとのこと
・非常ベルの鳴る理由は喧嘩が多い
・今は刑務官のバッジに番号が書かれているので、それで個人は特定できる(名前は書かれていない)
とのことであった。
講堂に入ると、非常ベルが四方に8か所くらい置いてあることがわかった。1日30分、運動の時間を設けて、ある程度の自由を設けているとのことである。ついでに独居房の模型も置かれていた。現在ではテレビのチャンネルも自由に見ることができるとのことである。講堂から出るときに、「視察委員会(法務省HP)」の張り紙が目についた。これはずっと貼ってあるものだそうで、受刑者からの改善要望に対する回答が書かれていた。
最後に、懲罰についても訊いてみた。午後5時まで安座で反省・謹慎させるとのことであったが、作業拒否を続けてずっと懲罰になるパターンが多く、これでは、更生の取り組みが全くできないまま出所するということで嘆いておられる様子であった。
塀の外に出て、京都刑務所の一般的な案内が貼ってあったので、それを見つつ、近くにいた刑務官にこの度の刑法改正などについて訊いてみると、
・監獄法改正に比べれば前向きな改正であると思っている
・刑務官側でも戸惑いはあるし、今後採用の場面になれば更生の側面により重きを置いた研修をすることになるだろう。個人の意見としては、急転換した面はある
・一方、受刑者側も今までのように作業をやっていれば良かった環境のほうがマシだと感じている人もいるようである
・収容定員(1477人)に対し、900人弱しか入っていないことで刑務官として楽なのか、むしろ扱いづらいのかと訊いてみると、暴力団の入所者を多数相手にするのと、それぞれの特性に向き合うというのでは質的に異なるし、現在のほうが一人一人の受刑者に手がかかっている。それは再犯者の出戻りに着目できるだけ受刑者が減ったということでもある。
とのことであった。





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